第1話 青紫の花

騎士の国・アルストリア、陽の月…―。

アヴィを助けたお礼にと、私は改めてアルストリアの城へ招待されていた。

柔らかな陽射しの中、執事さんの後ろを、アヴィと並んで歩く。

豪奢な城内には、品の良い調度品とドライフラワーが廊下に飾られていた。

〇〇「あ、このお花」

ふと窓から中庭を覗くと、ドライフラワーと同じ淡い青紫色をした花がたくさん咲いていた。

執事「庭に咲いている品種なのですよ。美しいでしょう?」

〇〇「はい。とてもきれいな色ですね。ドライフラワー以外にも、そのまま生けても、きっと素敵」

優しく声をかけられて、温かい気持ちになりながら答えていると……

アヴィ「何だよ、にやにやして」

アヴィが腰に手を当て、怪訝な顔をしながら、私を見下ろしている。

〇〇「このお花、ドライフラワーもいいけど、そのまま飾ってもきれいなんじゃないかな」

弾んだ声で、アヴィにそう声をかけると……

アヴィ「……そんなの、すぐ枯れて終わりだろ」

〇〇「え?」

一瞬、聞き違いかと思った。

いつも真っ直ぐで、力強いアヴィのひどく寂しそうな声。

〇〇「アヴィ?」

その声が気になって、彼の顔を覗き込むと…―。

アヴィ「おい、早く行くぞ。父上を待たせてるんだ」

ハッとした顔をして、次の瞬間にはもういつもの彼の声色に戻っていた。

〇〇「う、うんっ!」

慌てて彼の大きな背中の後を追うけれど……

(すぐに、枯れてしまう)

アヴィの言葉が、私の耳に張りついて離れなかった…―。

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