第5話 はぐれないように

・・・

サキア「あれ・・・・・・?」

立ち止まったサキアは、辺りを見回した。

サキア「○○・・・・・・?」

さきほどまで隣にいた、○○の姿はどこにも見当たらない。

サキア「もしかして・・・・・・はぐれちゃった・・・・・・?」

サキアはすぐに来た道を引き返して、○○を探してみるけれど、

その姿は簡単には見つかりそうになかった。

サキア「僕の悪い癖・・・・・・だ。 夢中になると・・・・・・周りのことが目に入らなくなっちゃう・・・・・・。 「○○に楽しんで欲しくて・・・・・・誘ったのに・・・・・・」

サキアの説明を、一生懸命に聞いてくれていた○○の姿を思い出す。

サキアはため息をつきながら、肩を落とした。

サキア「捜さないと・・・・・・」

顔を上げて、気持ちを切り替えるように頭を振る。

サキア「謝らなくちゃ・・・・・・」

・・・

○○「・・・・・・っ!」

サキアが進んでいった道をたどる途中で、私は立ち止まっていた。

視線は前方の木へとはりついた、巨大なクモにそそがれている。

(お、大きい・・・・・・)

避けて通ればいいだけなのに、その大きさにどうしても足がすくんで動けない。

すると・・・-。

サキア「○○!」

息を切らせて駆け寄ってきたサキアが、私の顔を見るなり顔を傾げる。

サキア「どうしたの・・・・・・? なんか・・・・・・顔色・・・・・・悪い」

○○「その木にクモがいて」

サキア「ああ・・・・・・」

指で示すと、サキアは木に近寄って行く。

サキア「ごめんね・・・・・・ちょっとだけ、向こうに行っててくれる・・・・・・?」

木にはりついていたクモを、そっと追い払ってくれた。

サキア「毒グモじゃないから・・・・・・大丈夫・・・・・・だよ?」

○○「クモ自体が苦手で・・・・・・」

(サキアはクモ、平気なんだ・・・・・・)

サキア「そうなんだ・・・・・・確かに、あまり好きっていう女の子は・・・・・・いない・・・・・・のかな?」

思わず首を縦に振ると、サキアがクスっと笑う。

けれど、すぐにうつむいてしまった。

サキア「ごめんね・・・・・・迷子にさせちゃって・・・・・・」

しゅんとするサキアの様子に、胸がちくりと痛む。

サキア「心細かった・・・・・・よね」

(すごく気にしてるみたい・・・・・・)

○○「全然大丈夫だよ! サキア、戻ってきてくれたし。 クモも追い払ってくれたし・・・・・・心強かったよ」

サキア「そ、そう・・・・・・」

唇を引き結んだサキアが、顔を背けてしまう。

○○「・・・・・・?」

(サキア・・・・・・耳が赤い? 照れてるのかな)

サキアが、私に腕を差し出した。

サキア「はい・・・・・・はぐれないように・・・・・・」

(あ・・・・・・)

おずおずと、私は彼の体と腕の間に手を通す。

○○「ありがとう・・・・・・」

そして私達は、二人並んで再び歩き出す。

どんな人混みの中でも、今度はもうはぐれることはなかった・・・-。

<<第4話||月覚醒へ>>