第4話 饒舌な彼

植物園の中を一通り散策した私とサキアは、一番の目的地である熱帯植物用ドームへやってきた。

(少し、蒸し暑い・・・・・・)

ドームの中は、南国を思わせる植物がうっそうと生い茂り、甘く熟したような匂いで充ちていた。

(一番人気ってだけあって、ここも人がたくさんいる)

混雑する道を歩く私を気にかけながら、サキアはゆっくり歩いてくれていた。

けれど・・・-。

サキア「展示に常緑広葉樹が多いのは・・・・・・優占種だから・・・・・・」

(常緑広葉樹・・・・・・優占種・・・・・・)

ドームを進むにつれて、サキアの説明がだんだんと難しくなっていく・・・-。

サキア「こっちのは、着生植物の・・・・・・一種で・・・・・・。 根の代わりに着生根が発達してるから・・・・・・茎葉を使って栄養を摂取したりするんだ」

一生懸命に内容を理解しようとするけれど、相槌を打つことしたできなくなっていく。

(けど・・・・・・わからないって言ったら、サキアはがっかりしちゃうよね)

(わかったふりで相槌を打つのも、話を遮るのもしたくないし)

(どうしよう・・・・・・)

サキア「でね・・・・・・羽状複合の感じとか・・・・・・中心柱の複雑さがすごいんだ・・・・・・」

○○「・・・・・・」

必死に理解しようとするけれど、何と返していいかわからずに黙り込んでしまう。

すると・・・-。

サキア「あ・・・・・・」

何かに気付いたかのように、サキアがハッとして鼻の頭を掻き始める。

サキア「僕の話・・・・・・ちょっと専門的過ぎた・・・・・・かも」

○○「・・・・・・ごめんね」

一生懸命に説明をしてくれる彼に申し訳なくて、視線を地面に落とすと・・・・・・

○○「!」

サキアが私の顔を覗き込んで、優しく笑ってくれた。

サキア「・・・・・・真剣に聞いてくれた・・・・・・僕、嬉しかった・・・・・・。 もう一度・・・・・・今度はもっと丁寧に説明する・・・・・・ね」

○○「ありがとう・・・・・・!」

けれど・・・-。

大好きな植物に囲まれているからか、彼はまた途中から早口になってしまう。

(サキアらしいな・・・・・・)

夢中なせいか、口調だけでなく、サキアの歩くペースもだんだんと速くなっていく。

(このままじゃ、サキアとはぐれちゃう・・・・・・!)

私は慌ててサキアの背中を追いかけた。

けれど、進めば進むほどに、混雑は増していく一方で・・・-。

○○「ま、待って・・・-」

けれどサキアは、するりと人混みの間を抜けて進んで行く。

息を切らしながら人波の中を見つめるけれど、私は完全にサキアの姿を見失ってしまった・・・-。

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