第2話 熱帯植物園

サキアが案内してくれたのは、緑豊かな自然公園と熱帯植物用ドームを併せ持つ、大きな植物園だった。

サキア「うわー……ここからもドームが見えるよ……」

○○「ほんとだ。遠目でもわかるぐらい大きなドームだね」

エントランスの向こう、緑の中に、楕円体を輪切りにしたようなドームが覗いている。

サキア「この辺りで、一番なんだってー……あそこなら色んな植物がありそう……。 熱帯植物は……好き?」

○○「熱帯植物って、ちゃんと見たことがなくて」

サキア「そっかー。オウギバショウとか、おもしろいよー……あとはー……タコノキとかもー」

○○「おもしろい?」

(植物がおもしろいって、どういうことだろう……?)

サキア「オウギバショウは、巨大植物なんだー。大人7人分ぐらいは……あるかも」

○○「植物なのに、そんなに大きいの?」

サキア「うん。オウギバショウは有名な植物だから……多分今日、見れる……と思う……」

○○「そうなんだ、楽しみだな」

サキア「あとねー……タコノキは、タコの足そっくりの見た目だよ。 熱帯植物って不思議な感じで……好きー……」

のんびりした口調だけれど、いつもより口数が多い。

(サキア、嬉しそう……なんだか可愛い)

○○「じゃあ、行こう?」

私の胸も弾み、足早にチケット売り場へ向かおうとすると……

○○「!」

サキアの手が、私の手首を軽く掴んだ。

サキア「あ……」

一瞬、お互いの動きが止まる。

サキア「……実は……もうチケット買ってある……から」

サキアが、もう片方の手で二枚のチケットを見せてくれた。

サキア「はいー。一枚どうぞ……」

○○「買っておいてくれたの? ありがとう」

サキア「前売りを買うなんて……初めてだったけど……。 チケット持ってるだけでも……ワクワクするから」

(本当に楽しそう……そんな場所に一緒に来れて、嬉しいな)

サキア「って、あー……」

○○「サキア? どうしたの?」

サキア「ごめん……なんか一人ではしゃいじゃった……」

サキアは顔をうつむかせて、恥ずかしそうに前髪をいじる。

○○「サキア……。 私もサキアと同じ気持ち。すごくワクワクしてるよ」

サキア「本当……?」

私の手首を掴むサキアの手が、今度はそのまま私の手のひらをそっと握った。

(温かい……)

彼の手を握り返して、私達はお互いに微笑み合う。

ここはまだ植物園の入り口……

これから始まるサキアとの時間に、私の胸は高鳴っていた…-。

<<第1話||第3話>>