第4話 海辺のひととき

海辺に到着し、アピスさんが車のドアを開けてくれる。

〇〇「わあ……」

海風がスカートを揺らし、波の音が耳に響く。

降りようとすると、アピスさんが手を差し伸べてくれた。

〇〇「……ありがとうございます」

恥ずかしかったけれど、素直にその手を取って砂を踏む。

アピス「よかった。まだ大丈夫そうだね」

空を見上げ、アピスさんが安心したようにつぶやいた。

〇〇「あ、私、カバン置いたまま……」

カバンを取ろうと振り返ると、運転席の下に一枚の紙が落ちているのが見える。

(何だろう?)

拾おうとした手が止まった。

(“デートプラン”……)

きっと彼自身の手で書かれたその6文字に、胸がきゅっと締め付けられる。

(調べてくれてたんだ)

アピス「何してるの? 早くしないと置いてくけど」

〇〇「は、はいっ」

急いでカバンを取って振り返ったけれど、頬に笑みが浮かぶのを止めることができなかった。

アピス「どうかした?」

〇〇「いえ。海、久しぶりだから嬉しくって」

(デート……だし)

〇〇「私、泳ぐの得意なんですよ」

アピス「そう? じゃあ、泳いでみる?」

彼は、私の背を押して海に落とそうとする。

〇〇「えっ!」

慌てて彼の腕にすがると、

アピス「……冗談に決まってる」

そう言って、彼は私の腰元を抱き寄せてくれた。

〇〇「す、すみません。 あ、あの、あっちの方に行ってみませんか?」

頭が真っ白になって、私は思いつくまま、まくしたてる。

彼に背を向けて歩き出し、何度も浅い息を吸った。

〇〇「あそこの雲、なんだか人魚みたい。あ、人魚の伝説って、こっちの世界にもあるんです…-」

すると…-。

いつの間にか隣に立った彼が、私の髪にキスを落とす。

〇〇「……っ」

海風が髪を巻き上げる。

彼の指が私の頬に触れた…-。

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