第5話 固い決意を胸に秘めて

淡い月の光が、窓から薄く差し込んでいる…-。

ヴァイリーさんはその光に目を細めながら、ジェスさんのことを語り出した。

ヴァイリー「アイツは……オレの不甲斐なさが許せねえんだろうな。 王位継承者だったオレが呪いにかかって、国のことを蔑ろにした部分も確かにあったからさ。 あんな言い方をする奴だけど、ジェスはすげえ優秀なんだ。だからこそ、ああやって……」

彼は兄として、ジェスさんのことをよく理解しているようだった。

(でも……)

自嘲交じりの言葉に、胸が締めつけられる。

考え込んでしまっていると、私の頭に、ヴァイリーさんの大きな手が触れる。

〇〇「……ヴァイリーさん?」

ヴァイリー「自分が獣化の呪いにかかって……正直、頭がいっぱいでさ。自暴自棄になったりもしたんだ。 その挙句、ユメクイに襲われて……ジェスがあんな態度になるのも、無理はねえ」

ヴァイリーさんはそう言ってから、ふと優しい笑みを浮かべる。

ヴァイリー「でもオマエに助けられて……呪いに負けたくねえって思ったんだ。 オマエのおかげなんだ。だからオレ、オマエに見ててほしくて……」

そこまで言って……ヴァイリーさんは、はっとした様子で目をしばたたかせる。

我に返ったように顔を真っ赤にして、そこで言葉は途切れてしまった。

(……最後まで聞きたかったけど)

(言ってくれようとした言葉は、なんとなくわかる気がする)

私は少しためらいながら、そっと口を開く。

〇〇「私もヴァイリーさんと……一緒にいたいです」

そう言うと、ヴァイリーさんが驚いたように目を見開いた。

ヴァイリー「そっか。オレも……そう言おうと思ってた」

彼が持つ熱が、私の頬にも移ってくる気がする。

〇〇「ええと……まずは交流会、ですね」

ヴァイリー「ああ。残された時間は少ないかもしれねえけど、オレは王子としてこの国に何かを残したい。 できる限りのことをしたいんだ。 それに、オレが成し遂げることをオマエにも見届けてほしい」

〇〇「っ……」

(どうして……)

(何かを残したいなんて、まるでもう呪いのことを諦めてるみたい)

けれど、彼の眼差しを見ると軽率なことは言えず……

切ない思いが胸に込み上げ、私は彼の手を取ってぎゅっと握った。

〇〇「……ヴァイリーさんになら、絶対にできます」

今は、そう言うことしかできないけれど…-。

(『真実の愛』で、ヴァイリーさんを救うことができるのなら……)

(私のこの想いで……彼を救ってあげることができたら)

―――――

ヴァイリー『これまで、どうしても内にこもりがちだったけど。 国の奴らがもっと世界で活躍できるように動きたいって……そう思うようになったんだ』

―――――

ヴァイリーさんが作ろうとしている、ヴェリティアの未来……

彼の思いを守りたくて、私は自分にできることを思い求めた…-。

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