第2話 彼の成長

ヴァイリーさんと再会を果たし、私達は一緒に城へと戻ってきた。

だけど……ヴァイリーさんの態度がどこかそっけなく思えて、ふと不安になってしまう。

(もしかしたら、ヴァイリーさんにとっては迷惑だったのかも)

(忙しそうにしてるって、執事さんも言ってたし……)

そう思ってうつむくと、落ち着かない様子で揺れる彼の尻尾が目に入る。

ヴァイリー「別に、迷惑とか思ってねーから」

〇〇「え?」

顔を上げると、ヴァイリーさんが私に真剣な眼差しを注いでいた。

ヴァイリー「……ずっと、オマエに会いたいって思ってた」

〇〇「ヴァイリーさん……」

まっすぐな言葉に、頬がほのかに熱を帯びていく。

ヴァイリー「さっきは、ちょうど公務の帰り道で……突然オマエが見えて、びっくりしてさ」

〇〇「どんな公務だったんですか?」

ヴァイリー「ああ……いろんなとこに、挨拶まわり。もうすぐ職人達の交流会が開かれるからな。 オレ達獣人は力があるから、石工や建築とかの技術は発達してて」

これまでヴェリティアは、他国や種族を超えた交流に消極的だったけれど、記録の国で行われたスポーツ大会……『エスタディオ』を機に、徐々に交流の機会を増やしているらしい。

ヴァイリー「大規模な水路工事とか……他の国にも技術を提供できればいいなって思ってさ。 皆で相談してるんだ」

ヴァイリーさんの瞳に、これまでにない力強さを感じる。

(ヴァイリーさん、何だか少し……変わった?)

ヴァイリー「これまで、どうしても内にこもりがちだったけど。 国の奴らがもっと世界で活躍できるように動きたいって……そう思うようになったんだ」

頼もしい声色に、私は…-。

〇〇「立派な考え方だと思います」

私は迷わず、彼の姿勢に賛辞を送った。

ヴァイリー「ああ……こんなふうに考えられるようになったのって、オマエのおかげだと思う。 〇〇と会って……自分のことばっか考えるのが恥ずかしくなってさ」

〇〇「え?」

きょとんとする私に、ヴァイリーさんは照れくさそうに目を逸らす。

ヴァイリー「〇〇はいつもオレのこと、気にかけてくれただろ? だから…-。 オマエにもう、心配かけたくねえなって」

優しい響きをはらむ声が、胸の奥までしっかりと届けられる…-。

(私の存在が少しでもヴァイリーの役に立ってるなら……嬉しい)

〇〇「……ありがとうございます。力になれているのなら、すごく嬉しいです」

ヴァイリー「ああ……そう言ってくれると、こっちも嬉しいぜ」

彼の真剣な面持ちが緩み、はにかむような笑顔が見える。

柔らかな表情に鼓動が鳴った時……執事さんがお茶を運んでいてくれた。

執事「姫様にもヴァイリー様のご活躍を見ていただきたいと、お招きしました。 差し出がましいかとは思いましたが……」

執事さんがそう言うのを聞いて、彼は深いため息を吐いた。

ヴァイリー「……ったく。すっげー驚いたんだからな」

二人の微笑ましい姿に、私はくすりと笑ってしまうのだった…-。

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