第4話 二人の関係

夕暮れの空が、水路を赤く染めている…-。

宝飾展の帰り道、私はジークさんと並んで歩いていた。

ジーク「……」

先ほどから、ジークさんの口数が少ない。

(私がさっき変な態度を取ったからかな……?)

地面に伸びた二つの影は、心なしか離れているように見える。

そっと彼の横顔を見ていると。ジークさんが不意に立ち止まった。

ジーク「申し訳ありません。先ほどの言葉を信じていないわけではないのですが……やはり気になってしまう。 私はあなたの笑顔がとても好きです……とても美しくて可憐で。 けれど先ほど、その笑顔に影が差した。しかも、私との話し中に……。 プリンセス……もしあなたを困らせるようなことでなければ、私に教えてくれませんか?」

澄んだ瞳が、まっすぐに私を捉える…-。

〇〇「……ごめんなさい」

ジーク「謝らないでください……私はただ、あなたの笑顔が見たいのです」

眉尻を下げるジークさんの表情に、心が痛む。

(……これ以上、ジークさんに心配かけたくない)

(それに、フレイヤさんのこと……やっぱり気になる)

聞いてもいいものかと迷いながらも、私はジークさんを見つめ返した。

〇〇「あの……フレイヤさんとジークさんの関係って…-」

しどろもどろになりながらも聞くと、ジークさんは不思議そうな顔をする。

ジーク「フレイヤは、私の妹ですが……」

〇〇「えっ……妹さん!?」

想像していなかった答えに、つい声が裏返る。

ジーク「はい。私には妹が3人いるのですが、フレイヤは一番末の妹です」

〇〇「……そうなんですか。よかった」

(私、今……)

本音が口をついて出てしまい、恥ずかしさに慌てて口を塞いだ。

ジーク「よかった、というのは……?」

彼の瞳が、戸惑うように揺れている。

いつも真摯に接してくれる彼の前で、嘘は吐けなかった。

(……きちんと話そう)

〇〇「妹さんだと知らず、勘違いしてしまって……。 その……フレイヤさんに嫉妬してしまったんです」

(こんなこと言ったら、困らせるよね……)

申し訳ない気持ちを抱えながら、彼を見上げる。

ジーク「嫉妬……プリンセスが私のことで、ですか?」

ジークさんが目を見開き、私を見つめる。

その頬はわずかに赤く染まっていたけれど……

少しの沈黙の後、彼は私をまっすぐ見つめた。

ジーク「そのようなお言葉をいただけるのは大変光栄です。ですが……」

ジークさんは微笑み、不意に跪く。

(えっ……)

そして慇懃に私の手を取ると、その甲に優しいキスを落とした。

ジーク「プリンセス、私はあなたに忠誠を誓った騎士。 出会ったあの日からずっと、私の心はあなただけのものです」

触れられた部分に、甘い痺れが走る。

赤く染まる頬を燃える夕陽のせいにできることに、私は密かに安堵していた…-。

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