第1話 『乙女と騎士』

宝石の国・メジスティア…-。

私はこの地で行われるという宝飾展へ招待されていた。

晴れ渡る青空の下、待ち合わせ場所へと向かっている途中……

〇〇「……ジークさん?」

私を招いてくれた彼がかしずき、紫色の澄んだ瞳で私を見上げた…-。

ジーク「プリンセス、ようこそお越しくださいました」

(待ち合わせ場所は、会場だったような……)

私が首を傾げたのに気づいたのか、ジークさんは柔らかく微笑む。

ジーク「少しでも早くあなたに会いたいと思いまして」

まっすぐな言葉に胸が弾み、頬にじわりと熱が集まる…-。

ジーク「さあ、行きましょう」

差し出された手を取ると、彼がゆっくりと歩き始めた。

(私の歩調に合わせてくれている……)

さりげない振る舞いが嬉しくて横顔をそっと見つめていると……

ジーク「プリンセス、この場所を覚えていますか?」

ジークさんが、通りかかった建物に視線を向けた。

〇〇「はい、覚えてます」

そこは以前、『乙女と騎士』というオペラを観劇したホールだった。

(ダイヤモンドの乙女に忠誠を誓った騎士の物語……)

〇〇「……悲しい結末に胸を打たれました」

命を落とす最期まで乙女に忠誠を誓った騎士の姿は、とても切なくて……

観劇した時の感動が思い出され、思わずため息が漏れる。

ジーク「心から忠誠を誓える相手に身を尽くす……彼のように生きるのが私の夢でした」

ジークさんは立ち止まると、まっすぐに私を見つめる。

ジーク「今は夢ではなく、確かな目標となりました……あなたと出会って」

次の瞬間、二人の間に風が通りすぎた…-。

〇〇「……っ」

乱れて顔にかかった髪を、彼の指がそっと絡め取る。

ジーク「あなたは、出会った頃から変わらずお美しい……私のプリンセス」

長いまつ毛に縁どられた瞳が、愛おしそうに細められる。

(ジークさん……)

甘く響くその言葉に、私の鼓動はさらに速まっていった…-。

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